ぜんぶきみの性 1  浅月 のりと

ぜんぶきみの性 1 (電撃コミックスNEXT)  浅月 のりと

 

TSものがけっこう好きということに気が付いたんですが、理由はまだいまいち自分の中で煮詰めきれてません。

BLが好きなのとおなじ文脈なのはわかる。

で、TSものとかを読むといっっっつももやもやするのが、「身体」と「精神」の性別が違っていることへの葛藤、そしてそれに伴う恋愛感情が向く性別の移行、と言ったらいいのか そういうことなんですよね。

僕と彼女の×××森永あい)とかむかしTLで流れてきたTSまんが(タイトル完全に忘れた)とか読んだとき、あと冠を持つ神の手というフリーゲームやったときにも思ったけど、なぜ、好意を持つ相手と結ばれるためには「異性のからだ」を持たなければ、という発想になるのか、ということ。

たとえば僕と彼女の×××では、主人公のあきらが不慮の事故で片思いしていた相手の桃子と精神が入れ替わってしまい、結局はその状態でお互いが別の相手と結ばれる。桃子のからだのあきらはもともとの友人だった千本木(男)と。あきらのからだの桃子も同じく友人であった椎名(女)と。

しかし物語の終盤でふたたびトラブルがあり、ふたりの精神はもとの肉体にもどってしまう。そこでなんとかしてまたからだを入れ替えようと…と悶着するところでエンド。

いや、からだが入れ替わったままでも、同性同士で付き合えばいいじゃん、ってめちゃくちゃ思うんですよね。

かもかて(冠を持つ神の手)もそう。主人公が最終的に男性になるか女性になるか選べるんだけど、好意を持つ相手と異性じゃなきゃたしか恋人や伴侶にはなれない。

未成年はまだ未分化の状態で成人するときに性別を選ぶって世界観で、主人公と同じくまだ未成年のキャラクターと結ばれるとき、結婚を約束したあとどちらの性別を選ぶか訊かれて、答えた性別によって相手の選ぶ性別が変わる。自分が男性を選べば相手は女性を選ぶし、逆もそう。相手にうそをついて同じ性別になるように画策すると超絶バッドエンド。

TSものにそこまで造詣が深いわけじゃないんだけど、いつも思うのが、「なぜ性的指向がみずからの身体の性に左右されるのか?」ということ。なぜ、「異性じゃなければ結ばれない」と思ってしまうのか。

 

長くなったんですが、ぜんぶきみの性ではこの点がすっごい簡単にさくっとクリアされていてとてもよかったです。

凪沙先輩は生まれつきの性転換症候群(TSS)で、みずからが男性なのか女性なのかがわからない。だから異性という感覚もない。だから、男女どちらを好きになるのが「正解」なのか、恋愛感情というものが理解できない。

主人公の了は後天的なTSSで、女性状態の凪沙先輩に恋愛感情を抱く。けれど男性状態の凪沙先輩にもドキドキしたりきゅんとしたりする。

凪沙先輩のバイト先には、容姿は完全に女性である男性(おそらく性自認も男性)や、みずからの女体という身体に違和感があり男性として過ごしたい男性が存在する。さらに女性同士で恋愛関係にあるカップルも登場する。

そんな人たちを見て、凪沙先輩は「同性同士で付き合っても…いいんだよね」「今まで告白されるたびに、自分は男か女かわからないからと断ってきた …でも、『性別』にこだわってたのは、僕のほうなのかもしれない」と気づく。

このねーー、あまり深く掘り下げずさらっと実感させてくれる加減がとても心地よくてよかったですね。

 

あとは単純に絵がとってもかわいい…好み…

私は凪沙先輩(男体)×了(女体)が好みです なんかわかりやすっ

TSものもいろいろ読みたいなー